一般に、「カラダが硬い人」と「カラダが柔らかい人」とでは硬い人の方が怪我をしやすく、スポーツは勿論、日常生活の様々な場面で筋肉や関節などに障害を起こしやすくなります。
しかし、「柔らかければ柔らかいほど良い」というわけではなく、過度に柔らかすぎるとかえって筋肉や関節への負担が増し、捻挫や脱臼などの障害が発生しやすくなってしまうということもあり得ます。
特に普段、筋力トレーニングを全く行ってない人(以下、関節がゆるい人)ではその発症率は高く、また、そのダメージは計り知れないものがあります。
「身体が柔らかい」と「関節がゆるい」とではその意味は全く異なりますが、同じ意味でとらえてしまっている方が多いようですので、今回は両者の違いについて見比べてみましょう。
■「身体が柔らかい」とは?
「身体が柔らかい」とは、筋肉の柔軟性や関節の可動域が適度であり、また、可動域の制限を越えるような場面に遭遇しても直ちにそれを制御するだけの筋力がある状態のことを言います。
■「関節がゆるい」とは?
一方、「関節がゆるい」とは筋肉の柔軟性や関節の可動域が過度であり、また可動域の制限を越えるような場面に遭遇しても直ちにそれを制御するだけの十分な筋力がない状態を言います。
このような状態に陥ってる人は特に子供や若い女性に多く見受けられます。
運動を指導する立場にある方は指導する前に十分にチェックを行い、それに基づいたトレーニングを実施させる必要があります。
■関節のゆるみをチェックしましょう!
以下でご紹介するのは、『関節のゆるみ』を判断するテストです。
全身7箇所をチェックして4箇所以上該当したら、関節弛緩陽性の可能性があります。
(注)左右あるものは片方が該当したら0.5として計算してください。
関節弛緩性チェック
手関節
●拇指が前腕部についてしまう
肘関節
●肘が15度以上(反張肘)反ってしまう
肩関節
●背中で両手が組めてしまう
股関節
●股関節が外側に90度以上開いてしまう
膝関節
●膝が10度以上(反張膝)反ってしまう
足関節
●足首が30度以上曲がってしまう
脊椎
●立位前屈で手掌が床につく
いかがでしたでしょうか。
人間の関節は、骨や靭帯などによる保持力に筋力の強さが加わり、その安定性が保たれます。
靭帯は人間の運動器官の中でもっとも重要なものの一つであり、一定方向の動きを制限し、関節全体を安定させる働きをもっています。
靭帯自体には動きは無く、主に関節の静的支持機構として働きます。
これを補助し、関節の安定を保つのが筋肉であり筋力なのです。
そのため過度な柔軟性に加え、筋力の発育が不十分な児童や若い女性においては、捻挫など関節の障害を起こしやすいのです。
また、偏った単一のスポーツを行なうことにより、野球肘・ジャンパー膝・テニス肘などのスポーツ障害も発生しやすくなります。
一度、捻挫をしてしまうと靭帯が切れてしまったり、伸びきってしまったりして関節が不安定になってしまい、その後の生活に大きな影を落とすことになります。
更に、側湾症などの体の歪みや、O脚・X脚・外反母趾などの障害の発症率も高く、成人してからの日常生活のみならずフィトネスライフにも大きな影響を及ぼしかねます。
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関節のゆるみが強いと、その分ゆがみが強くなってしまう可能性も考えられます。
柔軟性を高めるためのストレッチは控え目にして、日ごろから自宅でできるようなウエイトトレーニングを取り入れ、ある程度の筋力で関節のゆるみを防止しましょう。